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ゴンちゃん

全力!母さんデザイナーの
MIKIYAN
奮闘記

みきやん

Illustrator導入前の
デザイナーの仕事

[ IllustratorとMIKIYAN ]

Illustrator導入前のデザイナーの仕事
コピー機を使ってデザイン

1990年代、出版社にデザイナーとして、配属になったのは、まだ、印刷・デザイン業界の、ほとんどの方がIllustratorの存在すら知らない頃でした。

写植の写真
写植

その頃のデザイナーの仕事は、他社が作った「雑紙のキャッチや本文」などのデザインのイメージに近いものを探して、コピーして、その部分を切り取り「台紙」に貼ってレイアウトしていました。カッターやペーパーセメントなどを使い、原稿量に合わせていくつものコピー用紙の部品を組み合わせて雰囲気を作ります。コピー機を使いこなし、拡大縮小はもちろん。縦と横の比率を変えてコピー、白黒反転コピー、左右反転コピーなどを普段普通の人が使わない機能も使いこなし、オリジナルのデザインに仕上げます。いろいろな雑紙からコピーするので、文字内容はめちゃくちゃです。罫線やイラストはロットリングの製図ペンで描きます。それが当時のデザインカンプでした。お客様からデザインのOKがでると、それに書体・文字の大きさ・行間・字間などの写植*1指示を赤ペンで指示して印刷会社へ。原稿とポジフィルム*2・トレーシングペーパーで仕上げたイラストと併せて依頼します。数日で、印刷会社から版下*3のコピーが届きます。デザイン指示通りに文字内容が入っているかチェックします。何度か校正のやり取りし、修正がなくなり校了になれば、版下にトレーシングペーパーを覆い、色鉛筆で色を付けたい部分に簡単に着色し、M100 Y100…などと赤ペンで1カ所ずつ色指示を書き込みます。その後、「色校正のチェック」や「検版」を行います。

そこまでがデザイナーの仕事でした。

ポジフィルムの写真
ポジフィルム
ワープロ + コピー機
でデザイン

その後、デザイナーも会社のワープロが使えるようになるとプリントしてカンプを作れるようになりました。しかしワープロにはデザイン機能がありません。文字の大小はコピーで作って切り貼りします。書体は明朝だけなので、写植指示も必要でした。それでも本物の文字原稿なのでクライアントはイメージしやすく大変喜ばれました。当時ワープロが使えるデザイナーは重宝されました。

*1 写植 写真植字の略。文字の形で光るが通るように作られた黒いプレートを、光を当てて、一文字ずつ撮影、光が通った文字の部分は印画紙を現像すると黒く映し出される。それを版下台紙に切り貼りし、版下を作成する。

*2 ポジフィルム デジカメやスマホが登場以前、カメラマン撮影による「色が反転していない」カラーのフィルム

*3 版下 印刷工程で写植文字や罫線など、製版するために必要な部品がデザインの指示通りに切り貼りで配置されている台紙(版下台紙)